透明な越前箪笥と箪笥金具のジュエリー

越前市・越前箪笥のイノベーション提案。

福井県・越前市の伝統産業は和紙・箪笥・刃物の3つ。
この内の最も高価で重たい(重量)のが、越前箪笥。実際に職人さん曰く「修理がたまにあるけど、新品の注文は1年に1回あるかなくらい」とのことで、重量だけでなく、産業の継続の難しさという点でも重い問題だと感じる。
「軽くしたい」と思った。伝統は重いものだけど、重いことはいいことだけではない。重すぎると、首が回らなくなる。

工房を見学させてもらった際、修理中で骨組みだけになっているものを発見し、ああ新鮮だなと感じた。骨組みだけの方が構造の仕事が見えて美しい気がした。また、この箪笥ははるか昔はお金持ちだけの贅沢であり、少し昔、割と一般にも普及した際にも貴重品の類をしまって(隠して)おくためのものであったため、どこの家に何年モノがあるかなどが現在も分からないそうだ。つまり越前箪笥を持っているということはある種のステータス。どこの伝統産業品もそうであるように、昔の仕事の方が美しい。だから、できればどこの家にどんな箪笥があるかをアーカイブしておくことができたらと思ったが、それは難しいようだった。そのデータがあったら、様々に活用できそうなのになあと残念に思った。

1 私たちは、一部アクリルで作ったクリアーな越前タンスを試作してみた。これは重量的には既存の越前箪笥より軽くはできなかったが、見た目は軽くすることができた。ショップなどでディスプレイ棚として使用することをお勧めした。職人さんたちには怒られるかもと思いながら、お披露目したが驚き喜んでもらうことができてたくさんの質問が飛び交った。現在は実際に越前の職人さんたちが作ろうとしてくれている。

2 箪笥そのものを作るだけでなく、その金具部分に着目し、ジュエリー/アクセサリーも試作してみた。これは、箪笥と違って重くなく小さい=海外などへも低コストで送ることができる為、海外の見本市で越前箪笥を知ってもらう機会を創出する。越前箪笥の持つ、非常に特殊で過剰なデコレーションはジュエリーにしてみても面白かった。犬に見える金具もあり、私たちは「越犬(えちけん)」と呼んで親しみを感じている。

共同制作:iei(箪笥)、藤井彩花・風戸ほのか(ジュエリー)

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