前回担当した「シダレミュージアム」が高評価を得て、継続／規模拡大となったため、
新たに宣伝物など人々の頭に残るヴィジュアルをデザインすることとなった。
クライアントは“体験型のミュージアム”であること、プラスで
その場所のポテンシャルである“六甲山の眺望の素晴らしさ”について、きちんと訴求したい
とのことだった。
望遠鏡をモチーフにしたグラフィックデザインや、家族や友人と過ごす時間のような
シチュエーションにフォーカスしたものなど、複数真面目に提案したのだが……
結果、クライアントチョイスは、このなんとも脱力した、
一般にデザインと呼べないような、グラフィックだった…。
訴求したいこと、全部、ろくに訴求できないにもかかわらず、この選択。
プレゼンテーションでは、冗談粧して「電車に乗ってる人たち、みんな疲れてるので、これくらいやる気ない広告の方が気が楽になるような気がします」と述べた。
それは本当にそう思うが、ちゃんと人が来てくれるのか、とても心配。
しかし、これを選ぶ勇気のある、あるいは自分の中に物差しがあるクライアントと仕事ができていることは、とても幸せなことだ。

シダレミュージアム HP